ニコ日記

簡潔に 書いたつもりが 長々と

たっちゃんこそ男の中の男

名作の誉れ高い「仁義なき戦い」。言わずと知れた深作欣二監督の代表作にして出世作
なんとこれまで一度も見たことがなかったのだが、ふと思い立ってDVDを借りて見てみた。
結果、世間の評判に嘘偽り無く、世界の映画史に残る傑作だと思い知る。
まず、タイトルバックからしてぶっ飛んでいる。
舞台が広島だからという理由で原爆のキノコ雲を背景に赤の題字がどーん!と出て、誰もが耳にしたことがあるあの旋律(♪ちゃらりー↑ちゃらりー↓)がけたたましく響く。
もういきなり出鼻から好奇心わしづかみ。


本編の方はひたすらバイオレンスの世界。こちらが持ち合わせている道徳とか良識とかがあほらしくなってくるほどにむちゃくちゃ。
本来は極道は極道なりの論理と秩序があるのだけれど、そんなことお構いなしの輩に主人公たちが翻弄されるというところまでが第1作の主題。
裏社会の舞台設定もおもしろいところだが、往年の映画俳優たちが渋すぎてたまらない。
特に梅宮辰夫演じる若杉は主人公である広能の兄貴分で一貫して筋を通す方の立場なのだが、もうしびれるくらいかっこいい。
刑務所から出るために剃刀で自分の腹を掻っ捌いたり、警官だろうがお構いなしにチャカをぶっ放すクレイジーなところがまた何ともいえない魅力を生み出している。
マグロを釣るのが趣味で料理好きでやや親ばかなおっさんだとばかり思っていた梅宮辰夫が、かつてこんなにかっこよかったとは微塵も知らなかった。


一方で、金子信雄の演じる駄目親分のようで実は裏で全部操っている山守組長の糞野郎っぷりも素晴らしい。
人間的に腐った奴に共感してしまう傾向がある私としては、山守組長は強烈な印象を残すどんぴしゃな外道人間だった。
でも、どこか今ひとつ憎みきれないところがあってそれがまた魅力的なところでもあるのだが、それは金子信雄のもつ雰囲気と演技力のおかげだろう。


しかしまあ、よくこんな映画が作れて、公開までできたよなーと感慨深く思う。
しかもそれが大ヒットして続編大量に作ってるんだから尚更すごい。
時代が違うってことなんだなぁ。