ニコ日記

簡潔に 書いたつもりが 長々と

今日の数学

問:次のローレンツ関数f(x)フーリエ変換F(k)を求めよ。


\Large f(x)=\frac{\delta}{\pi}\frac{1}{x^2+\delta ^2}


というわけで、日頃むつかしい数学と出くわすことが多いので、せっかく覚えたことを忘れないように備忘録代わりにここに解法を記しておこうという趣旨で始まりました「今日の数学」。第1問は個人的には昔懐かしい複素積分の問題です。


いきなりローレンツ関数とかいう名前付き関数が出てきてこれをフーリエ変換せよという問題なんですが、ローレンツ関数が物理学的にどれほど重要かなんてことはさておき、ここは変換公式などは使わずに定義に則ってフーリエ変換してみます。


\Large F(k)=\Bigint_{-\infty}^\infty~f(x)e^{-ikx}dx


さて、この積分を解けば答えが出るのですが、式をじっとみるとどうあがいても正攻法では解けそうにありません。ならば、複素積分だ、留数定理だ、ということになります。
まず、準備段階としてf(x)を部分分数分解して、孤立特異点を探しておきます。
この場合、


\Large F(k)=\frac{1}{2\pi i}\Bigint_{-\infty}^\infty~\{\frac{1}{x-i\delta}-\frac{1}{x+i\delta}\}e^{-ikx}dx


となり、特異点x=\pm i\deltaとわかります。
そして、今度は留数定理を使うためにこれら特異点を含むような積分路を閉曲線でガウス平面上にとるわけですが、今、問題となるのは積分路を複素平面に拡張してしまったら元の実定積分との整合性をどう保てばいいのかということです。
ここで登場するのがJordanの補助定理。詳細はめんどくさいので避けますが、上手に円弧状の積分路を設定してやると、半径を無限大へもっていくとき上記の複素積分虚数成分を含む積分路で値が零となるものです。
つまり、これを使えば複素積分だったものが実軸上の積分路だけ残るので元の実定積分と等しいということがわかるのです。これで、留数定理が使えて、積分範囲も元の通りとなり、やっとのことで答えが出ます。途中計算を省略しますが、答えはおそらく次の通りです。


\Large F(k)=e^{\delta k}-e^{-\delta k}=2\text{sinh}(\delta k)


お断りしておきますが、この答えは間違っているかもしれませんので悪しからず。


追記:上の答えは間違ってることが判明しました。本当はkの値によって場合分けしないとだめです。時間があったら手直ししたいと思います。