ニコ日記

簡潔に 書いたつもりが 長々と

流行のハウル

(勘の鋭い人が読むとネタバレになる可能性有り)


ハウルの動く城」観て来ましたよ、早速。
前作「千と千尋の神隠し」は、ベルリン国際映画祭金熊賞アカデミー賞長編アニメ部門賞と輝かしい受賞歴を持ち、国内の興行成績も大きく塗り替えるなど記録尽くめの大作だったわけですが、それから3年ぶりの新作宮崎アニメとあって、今作の話題性は十分過ぎて有り余るほど。
報道によると、公開2日間で既に初動観客動員・興行成績では日本新記録を奪取したとのことです。
これは結構意外な結果でした。前評判ではそれほど盛り上がっているようにも見えませんでしたし、宮崎氏自体それほど力を入れている訳ではなさそうだったので、今回はそれほど記録は見込めないだろうなぁと思っていたのです。
しかし、開けてみるとやっぱり宮崎アニメというブランドの力は凄いものです。今日も平日にも関わらず映画館は満席。私も上映開始時間丁度くらいに行ったら、もうチケットが無いと言われて、泣く泣く次の上映まで待つ羽目になってしまいました。


さて、肝心の作品の感想ですが、個人的には結構良かったと思います。
人づてには厳しい評価も聞くのですが、そういう方はおそらくその人の趣味に合わなかったか変に期待し過ぎていたせいでしょう。
作品自体は王道的な欧風ファンタジーに淡い恋愛ドラマが重なり非常に魅力的なものになっていたと思います。
主人公ソフィーは、老婆にされても悲観せず、すぐに次の行動を起こし、何事に対しても物怖じしない生命力溢れる少女(体は老婆)です。この点は「千と千尋」の主人公千尋と似ています。ソフィーの明るい性格とソフィーを慕い集まる仲間たち、そして救いある結末に心温まります。
作画もこれまでの作品同様素晴らしく、特に街や王宮の群衆の描画や奇抜なデザインの戦艦などに対する宮崎氏の力の入れように驚かされます。
私としては、ハウルの生い立ちや性格の起源、ソフィーと出会ってからの心情の変化があまり細かく描かれていないことがちょっと残念でしたが、ソフィーの視点で見ればそれで十分なのかもしれません。
感動的な作品というよりは、見終わった後に心がハッピーになる温かなアニメだと思います。


試写会等ではハウルの声を演じた木村拓哉の演技力に難点があるなどの噂もありましたが、私が観た感想では気になるほど度を超して下手という訳ではなかったように思います。しかし、他の名優たち(今作ではマルクル役の神木隆之介などが秀逸)と比べると下手糞なのは確かですが・・・
個人的には主役のソフィーの声として倍賞千恵子を配したことの方が疑問だったりします。倍賞千恵子が超ベテランの名女優であることは間違いないんでしょうが、やはり声優としては経験という点で他に一歩劣るような気がしました。今回は少女の声と老婆の声を演じ分けなければならないという難役だったので、その点でも倍賞さんには荷が重すぎた感があります。ま、それでも木村氏よりは遙かに聞けるレベルでしたが・・・(やっぱ木村拓哉は下手だったかもなぁ)
スチームボーイ」を観たときも思いましたが、最近の大作アニメは声優にベテラン俳優を持ってくるのが流行なんでしょうか? 配給会社としては宣伝効果が期待できるからやっていることなんでしょうが、声優の経験のほとんど無い人が何の練習もしないで演じているのは素人の耳にでもはっきり分かるので出来ればやめてほしいものです。中には声優としても一流の俳優さんも居ますが、そういう方はやっぱり経験も鍛錬も積んでいるのでしょう。


それにしても、日本のアニメは改めてクオリティーが高いなぁと思いました。
日本人にアニメ好きが多いということもあるんでしょうが、下手な邦画なんかよりずっーーと心揺さぶられるものがあります。
世界に誇れるコンテンツとしてここまで日本のアニメを牽引してきた宮崎氏ですが、「もののけ姫」以後ずっと引退したいと仰っているだけに次回作についてはかなり厳しそう。
宮崎ファンとしては、短編でもいいのでこれからも少しずつ新作を制作してほしいと願うのでした。